総会長挨拶


 

ご挨拶

 

本年度の細菌学会東北支部会総会長を仰せつかりました東北大学大学院医学研究科環境医学分野の赤池孝章でございます。本総会も本年で72回を数えておりますが、北里柴三郎先生が、1927年に第1回日本細菌学会総会を開催され既に90有余年の月日が流れました。その20年後の1947年に日本細菌学会が、前身であった日本連合微生物学会から改組され正式に発足しましたが、第1回東北地方会は、まさしく日本細菌学会の誕生に合わせて、黒屋政彦先生により東北大学医学部において開催されました。この様な沿革より、細菌学会東北支部総会は、その支持母体である日本細菌学会とともに永年歩んできたと言えます。

 

さて、私は本年より第56代日本細菌学会理事長(20182020年)を拝命いたしました。日本細菌学会の歴代理事長(会長)は、初代(1927年)の北里柴三郎先生を開祖として、多くの先達の先生方が、日本の細菌学会の礎を築かれ、その伝統を脈々と継承されてきました。特に、黒屋政彦先生は第23代理事長(1950年)を務められて、その栄誉は細菌学会黒屋奨学賞として、現在も細菌学会の歴史に刻まれています。また、石田名香雄先生は第45回日本細菌学会総会長(1972年)を担当され、黒屋先生とともに日本細菌学会を牽引されその発展に大きく貢献されました。

 

私ども日本細菌学会は、アカデミアの舵取り役として、発足以来永く日本の学術分野を開拓・先導してきましたが、現代にあって広く国民から求められ、細菌学会が担うべきミッションを再定義し、現在その主たる学会運営方針として、日本国民に向けて顔の見える学会活動の推進、および、関連学協会との連携強化などを唱っております。そこで今回の地方会においては、1日目に、公開シンポジウム(特別講演)を開催し、近年細菌感染対策において国民的に大きな医療問題となっていて、極めて喫緊の課題であります、薬剤耐性菌の感染拡大とそのコントロール戦略について、感染症対策の最前線で当該分野の日本のリーダーとしてご活躍されている、菊池 賢 先生(東京女子医科大学・教授)、大西 真 先生(国立感染症研究所・副所長)にご講演をいただきます。さらに、2日目には、関連学会との連携強化活動の一環として日本生体防御学会との共催のセッションを開催します。具体的なテーマとしては、感染・炎症などのストレス応答に焦点をあてて、本橋ほづみ 先生(東北大学加齢医学研究所・教授)による基調講演と、澤 智裕 先生(熊本大学・教授)、西田基宏 先生(生理学研究所/九州大学・教授)、居原 秀 先生(大阪府立大学・教授)の3名の新進気鋭の若手教授によるシンポジウムを企画いたしました。

 

今後、日本細菌学会のミッションに沿った地方会運営を推進することで、学会本部からの地方会への支援がより効果的で円滑になるものと考えておりますので、東北支部会の会員の皆様におかれましては、引き続きご理解とご支援を賜りますよう、どうぞ宜しくお願いいたします。

 

72回日本細菌学会 東北支部会総会長

赤池孝章(日本細菌学会理事長東北大学医学系研究科環境医学分野 教授)